宇宙の果てはこうなっている

第W章 「次元」の正しい理解の仕方

       
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【 第W章 −4】 時間の相対性 

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 さて、さっきは電車の床に置かれていた光源装置が、逆に今度は 駅のホームに据え付けられていた としましょうか。ホームにいる人は、地面から垂直に出た光が、ホームの天井との間を秒間に回往復するのを見ます。

 この間、電車の中にいる人は、自分が静止していて、プラットホームが後方へ動いて行くように見えますから、こちらの方が、往復の間に光が長い距離を走ったように見えます。

 そうですよね。もし電車が振動もせず音も立てなかったら、電車に乗った人にはどちらが動いているのかは判断が付きません。
 自分は静止していて、外のホームが動いているのだと思っても構わないでしょう。そうそう、子供の頃に不思議に感じた、あの 「畑も飛ぶ飛ぶ家も飛ぶ」 の状況です。
 つまり、今度は電車の中から見て、
外の世界の時計の方が遅れている ように見えるわけです。

 つまり時間というものは、見る立場によって経過の仕方が全く変わる ということですね。
 ですから要注意です。あなたが読んだ相対論解説書の中に、もしもこの原理を 「動いている時計は、静止している時計より遅れる。」 とだけ書いて、平気でそれで済ませてあったりしたら、大いに怒ってください。

 この野郎、全く違うじゃねえか。ええい、こんな本は手に取るだけで指が腐るってもんだ。構わねえ捨てっちまえぇ。という具合にです。

 だって電車の外にいる人だって静止しているのではありませんよね。この人は地球と一緒に自転しているし、その地球も太陽のまわりを回りながら、さらに銀河系中心のまわりを億年を掛けて一周していると言われています。
 その銀河系すら膨張宇宙の中で運動しているわけですから、
宇宙の中には 「静止」 している場所なんてない んです。「絶対静止」の基準点は存在しません。

 火星の運動速度は地球とはやや異なるわけですから、火星での秒は地球上の秒とはたぶん違うと思います。ほんの少しでしょうが。
 木星でも金星でもそれぞれの時計を持っています。つまり
宇宙にはどこにも 「絶対秒」 という基準はない んですね。これが 「時間の相対性」 です。

 ただ私たちは皆、有史以来偶然同じ地球に乗り合わせて、同じ動きをしてきたのですから 共通の 「地球秒」 を使用して何の不都合も感じずにいただけ なのです。


 梅干しを食べたわけでもないのに口を酸っぱくして何度でも言いますが、宇宙には 「絶対空間」 とか 「絶対時間」 などが最初から存在しているのではなく、時計の針はその場所によって、また見る立場によってそれぞれ異なる進み方をします。

 時間というものは、観測者から見た相対速度で決まる 「相対的」 なもの です。動きの異なるそれぞれの空間に付随して変化していくものなのです。その意味で 「空間」 と 「時間」 とは別個に考えるのでなく、「時空」 としてとらえるべきなのです。
         ( このページの内容について、
ぎゃんぎゃんさんから質問がありました。)


 そこでその 「時空」 をまとめて座標系として表現したいのですが、そりゃぁ佐世保のキムタクと呼ばたこともあるし、おまけに加山雄三とも誕生日が同じだというこの私にだって、互いに直交する
本の座標軸なんてのはやっぱり図には書けません。

 仕方がないので、相対論の教科書でも、次元を図示するには、下のような座標軸を使用して解説がなされています。
 O点に見えているのは、
だけの次元平面ですが、これは 軸を省略された次元空間だと思ってください。つまり我々の次元的宇宙空間を、とりあえず次元の平面で表現しているわけです。

 そして縦軸が時間軸です。ただし 「」 ではなく 「ct」 として距離に換算されています。ちなみには光速 3.0×108 m/s ですね。

 今例えばO点にある地球から一本の光が照射されたとします。光は年後に光年の距離だけ離れた地点に到達します。

 ただしその間、時間も年間経過していますから、光の先端は 点ではなく点に達している事になります。つまり光の光跡は直線 OQ で表されます。

 光年に達するまでの、光のヶ月ごとの到達点が Q1,Q2,Q3 … です。宇宙の中で最大速度である光の情報は、この同心円のように我々の周囲に伝わります。

 ちょうど水面に落ちた雨粒の波紋が拡がる様子を時系列に表現すると、こんな図になるでしょうかね。


 光より早く伝わる物質はありませんから、その外側 (例えば R 点) にグラフが移動することはありません。この範囲からの情報は我々には届きません。認識不能なわけです。よって直線 OQ のことを
「光の世界線」 と呼んでいます。

 光より遅い普通の物質(って言うかこの世の全ての現象)は、この世界線の内側の円錐部分でしか移動できません。
 この円錐を
「光円錐」 と呼びます。点が現在であれば、上側の光円錐が未来を、下側の光円錐が過去を表現していることになります。


 最初にこの
次元表示を考えたのは、リトアニア生まれの数学者 Hermann Minkowski18641909) です。よってこの図を 「ミンコフスキー空間」 と言います。

 ところでその時、地球の上に 「静止」 していた私たちはどこへ行ったのでしょう。確かに O 点から移動はしていませんが、時間は年間経過しているので、私たちは 点に到達していることになります。

 すなわち全ての事象というものは、そもそも 光の速さでこの時間軸に沿って時空内を上方へ移動している のだ、と見なせます。原点 O にあった我々の次元空間 XY は、この図の縦軸に沿って猛烈なスピードで上昇しているというのです。

 もちろん、今のこの瞬間にもです。地球も太陽も、あなたの子供部屋も机も目覚まし時計も全てです。ああ、そう言えば第章第節でハッブルさんが、宇宙のスタート時点を中心とした宇宙の概念図を描いてくれたときに、似たようなことをおっしゃっていませんでしたかね。

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