宇宙の果てはこうなっている

第W章 「次元」の正しい理解の仕方

       
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【 第W章 −3】 電車の中と外の世界(しょにょ2) 

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 つまり電車の外で見ている人にとってもやはり光の速さが 3.0×108 m/s だったんなら、じゃぁ秒ではC‘ あたりまでしか進まないじゃないか。

 その通りなんです。C‘ までが秒なんですね。実は に達したときには実はもう 1.25 秒経っているんです。

 この 1.25 秒というのは、右の式から計算できます。は電車の中、T‘ が電車の外での時間です。Cは光速、V が電車の速さですね。

 この式をローレンツ変換式と言います。どうぞ数値を代入して確かめてください。

 そのとき電車の中ではやっと秒ですから、どうですか、「動いている物体の中の時計は、その進み方が遅れて見える。」 というのが、とりあえずの正しい結論なんです。難しいことではありませんよね。

 すなわち電車の外の時計では 1.25 秒に相当するこの時間を、電車の中の人達は 「俺たちの秒」 として暮らしているということです。立場によって進み方の異なる時計を使っているわけですね。

 ヘンドリック・ローレンツ Hendrik Antoon Lorentz18531928) がこの変換式を作ったのは 1899 年。ですから、アインシュタインの特殊相対性理論発表より、年も前の出来事です。

 もしも光速が不変なら、ひょっとすると時間の方が変化するのではないかという発想に到達していたのは、アインシュタインだけではなかったんですね。

 私たちはせいぜい飛行機や新幹線で移動するだけでしたから、(V/C)2 の部分はほとんどです。だから T‘ T となって気付かなかったんです。

 でも厳密に言えば、新幹線に乗って東京から博多まで時間ほど旅行をすれば、0.0000000000019 秒 だけあなたの時計も遅れていたんですよ。
 飛行機だってそうです。しかも新幹線よりも速度は速いですから、時間のずれはもう少し大きくなるかも知れませんね。

 ですから、東京を発って長崎の愛人に会いに行く社長さん達は注意してください。「おお、あけみ。これからいよいよ君に会いに行く。長崎駅前で 30 分に待ち合わせようぜ。」 などと言ってはいけません。
 きちんと「
30 0000000000019 秒に着くから。」 と正確に伝えましょう。それが恋する人への優しさです。わはは。

 

 済みません、話を元に戻します。上の図で言えば、電車の中の人にとってもきっちり秒分だけ年を取ります し、他の現象も秒分が進行します。電車の中にいる限り何も不都合なことは起きませんから、何にも気が付きません。

 電車の外でも、光が点に達するまでにホームの時計は 1.25 秒を刻みますし、人も1.25 秒分だけ年を取ります。この人も特別変わったことは感じないでしょう。
 ただ、ふたつの時計を見比べた時のみ、その違いに気付くということです。

 あなたも聞いたことがありませんか。良く引き合いに出される双子の思考実験です。
  双子の兄弟のうち、兄は光速の
0.6 倍のロケットで、片道年、往復年の宇宙旅行に飛び立ち、弟は地球に残るという設定です。

 ロケットの中では地球より時計の進み方が遅いので、兄が宇宙旅行から帰った時には、弟の方が年上になっているだろうって話ですが、本当にホントなんですかね。ちょっと数値的に確かめてみましょうか。

 ロケットからはその時々の宇宙船内の様子が、ライブ映像で地球に発信され続けているとします。
 兄の
年間は、さっきのローレンツ式で計算すると地球での年に相当します。
 ですからロケットが最も遠ざかる折り返し地点は、地球から見ると
0.6×光年の距離です。

 ちょうど折り返す瞬間の映像は、年後に地球に届きますから、弟は結局、船内の行きの年間の映像を年間受信することになります。

 逆にUターンしたあとの帰りの年分の映像は、同様に計算して、地球では年間で受信されます。
 ですからロケットが地球に帰って来るまでに、船内では計
10 年分の地上の映像が流され、地球では年分のロケット内の映像を見ることになるでしょう。

 二人が再会を喜んで握手を交わすとき、ほらね、確実に弟の方が兄より歳分だけ年を取っている ことになります。

 この現象は 「浦島効果 Urashima Efect」 と呼ばれ、この言葉は学会の論文でも使用されています。面白いですよね。日本のお伽話伝説から出た言葉がそのまま科学者達の共通語にもなっているってんですから。

 

 何を言ってやがる。冗談じゃないよ。どうせそれは理論上そうなるって事だけじゃねえのか。別に確かめられたわけじゃねえだろう。だいいちそんな高速のロケットは存在しないしな。

 いえいえ、実は このことはもう既に実際に確かめられている んです。1971 年に、物理学者 ジョー・ハーフェル リチャード・キーティング がやりました。

 原子時計って知ってるでしょう。セシウム原子線のメーザー発信周波数を利用した、超高精度の時計です。 こいつをつ用意し、ひとつはジェット機に積み、もうひとつは空港に残します。

 そして、そのジェット機が地球を一周して戻ったときに、ふたつの時計を比べたんだそうです。なかなかやりますね。うまい方法です。

 すると確かに、ジェット機内の時計は、本当に 空港に残した時計よりも 59 ナノ秒(0.000000059秒)だけ遅れていた というんです。

 この値はローレンツ式で計算した予測値とピッタリ一致していました。どうです、現実に証明されたんですよ。ウラシマ効果が。

 

 ひょっとすると、浦島太郎って、亜光速の宇宙船に乗せられて 竜宮城へ行ったのかも知れませんね。
 ひとりの青年が異星人に誘拐され、何十年か後に若いときの姿のままひょっこり戻ったなんて事件があって、その目撃談が口承伝説として人々に語り継がれた、と考えてみませんか。

 まあ多少、何世代かに渡って語り継ぐうちに話に尾ひれが付いて、やれ亀を助けたとか乙姫様に会ったなどと、あとから追加で脚色されたんでしょう。それとも、連れ去られるときの宇宙船が亀の形にでも似ていたんでしょうかね。

 何はともあれ少なくとも、数年後に戻ってみると、地球では数十年も経っていたなんて事態は、科学的にもあり得る話なんだ ということですね。

 

 まだ他にもありますよ。もっと出しましょうか。運動する物体では時間が遅れるという証拠を。
 
μ中間子(ミューオン) というのがあります。宇宙線粒子のひとつです。

 「ミューオン」 です。高音でも低音でもない 「中音」 とは何の関係もありません。はい、誰もそんなこたあ気にしておりません。言ってることが支離滅裂です。
 きちんと科学的に紹介してください。そうですよね、宇宙空間の放射線が大気成分の窒素や酸素の原子核と衝突する際に発生する高速の粒子です。

 このミューオン粒子は非常に不安定で、寿命は 2.2×10-6 秒ですから、地球大気上層部で形成されても、最大走行距離は ×108 × 2.2×10-6660 m となり、地上まで達する筈はありません。
 だって大気層の厚さは
1520 km もあるのですから。

 それなのに地表に降り注ぐミューオンは、普通に大量に観測されているんです。

 これは、大気中を突き抜ける際の速度があまりに速いため、ミューオンにとっての時間がゆっくり進む からだと考えられます。おかげで同じ寿命の間に 200 倍以上の距離を走ることが出来ているわけです。

 すごいでしょう。それぞれの時計はやっぱり違うんですよ。運動の状態によって時間の進み方はさまざまなんですね。 ( このページの内容について、なっくあおちさんから質問がありました。)

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