宇宙の果てはこうなっている

第Z章 そうだったのか宇宙

       
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【 第Z章 −2】 新しい宇宙概念図 

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 はいそれじゃお願いしますよ。
 さっきから私が描いた球形の宇宙概念図に、散々っぱらイチャモンを付けていたアインシュタインさんのことですから、ここらでおそらく、
新しい画期的な概念図 を示してくれるんでしょうね。そうでしょう。

 「え、何の話やねん。急に耳が遠おなってな、何言っているんかよう聞こえまへんのやが。」
 もう、都合が悪くなるとすぐそうやって逃げを打つんだから。白化っくれていないで、さあいよいよここでバーンと示してください。新しい宇宙のイメージ図ですよ。

 「イメージ、イメージって、そないイジメんといてえな。いや申し訳ないが、別に新しくはおまへんのやで。大して画期的でもないし。」
 はいはい、それでも構いませんから。何でも良いから取り敢えず描いてくださいよ。
だってもうこのHPも最終章なんですよ。何か出さないと格好が付かないでしょう。

 

 「そうでっか。ならやってみまひょか。空間の次元のうち、ひとつの次元を省略して描きまっせ。」
 X,Y,Z のうちたとえば Z を省いて、この宇宙空間を
次元平面で表現するんですね。

「はいな。ただし次元言うても完全平面じゃなしに、ゆるやかな曲面なんやから、くにゃーっと。こんなもんでどうや。」

 球体の表面にまるでへばりついたような、この赤い線の内側が、私たちの銀河系から見える宇宙なんですね。

 「そう、半径 137 億光年のぺらぺらの歪んだ円盤やな。実際にはまだ 110 億光年くらいまでしか見えてへんのやけど。」

 たとえ究極の望遠鏡が発明されたとしても、我々にはこの赤い地平線までしか見えない。 

 「そうやな。現実的にはこの赤い地平線は四方八方、あらゆる方向にまるで球殻のようにわてらには見えておる。そして光速で後退しておるんや。」
 地球の曲面上では水平線から先を見ることが出来ないように、曲がった時空の中ではこの宇宙の地平線から先は絶対に観測できないんですよっと。はい、それから。

 「やいやい急かさんどいてえな。それにさっきみたいに、アンドロメダから見える宇宙も重ねて描くとこうなりますわいな。」
 こんどは青い線が、アンドロメダ銀河から見える地平線ですね。
 「どや。長崎から見る地平線と東京から見る地平線が違うように、
それぞれの場所にそれぞれの地平線がある。と、こういうこっちゃ。」

 

 なぁんだ。ただ次元をひとつだけ落として、まるで地球上の水平線の図を横流しして使っただけのようなもんじゃないですか。
 「よ、横流し。んな悪徳脱税業者みたいな言い方はせんどいて欲しいわ。問題はここからなんやて。時間軸はすべての空間軸に直交しているんさかい、この方向やね。」

 おっと。まるで地球中心から天頂に向かうように、一本の棒が伸びてまいりました。はあ、これが時間軸なんですね。
 「そうやで。しかもな、我々は皆、時空の中をこの方向へ光の速度で移動しているというわけでんねん。」

 あ、そうでしたね。静止していても軸に沿って光速で移動しているんですから。
 「さよう。そんでもって、アンドロメダの時間軸はこっちの方角や。ほれ、このように
場所によって時間軸の方向も異なる でっしゃろ。」

 

 なるほど。ちょうどアンドロメダ星雲の場所での接線と言うか接平面に直交しているんだから、あ、これではっきりしますね。私たちとアンドロメダ星人とでは、そもそも時間の基準が違うのだということが。
 「アンドロメダまで行かんでもよろしいで。ほんの隣の星でさえ、わてらとは違う時間軸の上を進んでおることになる。」

 もっと厳密に言うと、私とあなたの時間軸でさえ、ほんの僅かにずれている。
 「そういうこっちゃ。まあ実際の話、そのずれを意識することはほとんど出来んじゃろうがな。」
 第
章で話して頂いた 「自分の指先でさえ過去の映像を見ている。」 という事実が、この宇宙が曲率を持っている証につながっているんですね。

 「ちょっとたとえて言えばや、この地球上で生活してる時に、頭の真上に太陽が来る時刻も、本当は人によって少しずつ違っているようなもんやな。」
 あっはあ、上手いたとえですね。太陽が天頂に来る時刻を私たちは 「正午」 と決めていますが、アインシュタインさんの頭上と私の頭上とでは微妙に角度がずれていますからね。地球が丸いおかげで。

 「しかしそれを気にして人それぞれの 『正午』 を使っておっては生活が混乱するやろう。せやからどっかを基準にして、皆同じ時間を生きていると見なしておるのや。」
 空間が曲がっているという事に気付かないと、アンドロメダ星人もつい同じ時間軸の上を生きているのだろうと勘違いしてしまいますよね。

 

 ところでそうなると、この灰色で示された巨大な球体、まあこの図で言えば地球みたいなイメージですが、これが全宇宙ということになるんですか。
 「まあ、模式的に描いたらそういうこっちゃね。」

 ふう。これが宇宙の本体なのか。
 「どないしたん、不満でっか。」
 いえね、ちょっと気付いたんですがアインシュタインさん、さっき全ての物質は時間軸の方向に動いていると言われましたよね。

 「うむ。時間が経過するということはそういうことやろ。」
 と言うことは、
宇宙は光の速さで地平線を拡げながら、時間軸の方向にも光速で膨張している という事になりますね。
 「そうやで。それが
次元時空の本質でんがな。」

 

 そうだったのか。まるで地球全体がどんどんふくらんで膨張しているかのように、時空は拡がり続けているんだ。宇宙が出来てからこれまでも、そしてこれからも。

 「よう考えてみい。球体全体が膨張すればするほど、その表面では曲率はだんだん小そうなるやないか。そやさかいその分、地平線が遠くなるんや。あと 10 億年経ったら、地平線は 147 億光年先になるんやろ。」

 そうか、球がふくらめばふくらむほど、狭い範囲で考えるとその表面はより平面に近くなる。だからその分、地平線の位置は遠くなる。
 ってことは逆に言うと、宇宙が出来て間もない頃の地平線は、今よりもずっと近い距離にあった。

 「当たり前やがな。あんさん月に行ったことはあらしませんのか。」
 えーっ、月面にですか、あるわけないでしょう。

 「ならアポロ飛行士にでも聞いてみたらよろしい。月世界での地平線なんて地球に比べたらごっつ短いんやから。Km以上も離れたら、その先はもう見えへんのやで。」

 そうでしょうね。なんせ直径は地球の分のなんですからね。

 「それと同んなじや。出来て 100 年後くらいの宇宙では曲率がもっと大きかった。だから 100 光年先までしか見えへんかった。」

 ということですか。そうすると、宇宙の歴史というものをこの模式図の形式で表現するなら、このようになるんですね。

 「お、うまいうまい。そういうこっちゃがな。ただしこの図はあくまでも、空間の次元をひとつ減らして表されとるちゅうことだけは、頭から外さんようにしとかんとあかんで。」

 はいはい。頭から外しちゃいけないんですね。それじゃあこの図を書いた紙をこうやって額にべったりと貼り付けますよ。こんなみっともない格好で街を歩けと、私に命令されるわけですね。

 「何言うてまんねん。好き勝手にしたらええ。たいして格好悪くもないで。そうやのうて、わてが言いたいのはこの図もある意味で正しいんじゃが、わてらに実際に見えている宇宙を表しているんやおまへん というこっちゃがな。」
 実際に見えている宇宙の図ではないんですか、これって。

 

 「そやろ。わてらには下の図の 230 万年前のアンドロメダしか見えていない。銀河系から遠くなればなるほど過去の映像を見ておるわけやから、この球面表面上の星雲はまだ見えていないんじゃ。」

 あ、なるほど。アンドロメダ時間軸上 230 万年前の光が今私達に届いている。他の星雲にしても同じ事が言えるんですね。その距離に応じて。

 そうすると、私がアインシュタインさんと一緒にこうやって今仰ぎ見ているこの星空は、左図の 円錐形の表面に相当する という事になりませんか。

 「そうや。距離に比例して、昔の時間軸上から発した光を見ておるんやさかいな。」
 そうだったのか。この
円錐表面からの映像が、まるで3次元球殻のように見えている のか。

 「ただし正確にはきちんとした円錐形ではないで。」
 円錐ではない。

 「そうでっしゃろ。宇宙はこれまで常に膨張し続けてきたさかいな。古い時代ほど、宇宙が小さかった頃の光を見てるんやから、この図の青い点線で示された部分の表面ということになるな。」

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