.宇宙の果てはこうなっている. | .第Z章 そうだったのか宇宙. |
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はいはい、そう言われてみれば円錐形ではありませんね、確かに。もしも宇宙の膨張を考えないんだったら、今見ている宇宙は、我々の時間軸を中心軸とした円錐形の表面であると自信を持って言えるんですが、過去になればなるほど我々との距離はもっと近かったわけだから。
分かりましたよ。つまりこの図の下の方ほど萎んでいく形に描けばいいんですね。なんだかなぁ、これだったらボーリングのピンの先端みたいな図になりますよ。
「どうせならクリームパフェの先端とでも言うてくれへんかな。」
「どや、これやったら、ちっとは
『新しい画期的な概念図』 と言うてもええやろ。」
はい、目から鱗、鼻から甲羅です。ふーん。
「それを言うなら、上品クシャミ鼻からコーラやろ。」
やりますねぇ、さすがアインシュタインさん。こんな図はこれまで目にしたこともありませんでしたよ。そうですか、これがこの宇宙の正体だったんですか。
「宇宙は過去の映像であるということも考えんと、ただ空間が拡がっているだけやと勘違いしている さかい、どこまでも果てなく無限に続いているイメージに囚われてしまうんでっせ。」
ほんとだ。目に見えている宇宙は、無限に拡がっているわけじゃないんだ。アインシュタインさんが言うように、宇宙の始まりも点だったし現在の今(我々の銀河系)も点。宇宙というのはその点と点の間のしずく型を見ている というわけですね。
うわあ、つい最近の天文学の成果までよくご存じで。そうですよ。遠方銀河の連星型超新星の光度測定結果から、どうやら宇宙は
50 億年前くらいを境に、それまでの平坦膨張から加速度的な膨張に移ったのではないかとされています。
「それらを勘案すると、我々のまわりの天体の時間軸は上のような図に表されることになるんや。」
えーっと、横軸はX、縦軸はTですね。3次元空間を1次元のXだけに省略してあるんだから。
「わてらの銀河系を基準にして、時間ごとの距離の広がりを示しておるわけやね。」
一点から始まったビッグバンのあと、空間は一旦急激に拡がって、その後等速膨張、最近では加速膨張か。なるほど、なんだか湯飲み茶碗かお猪口みたいな形になりましたよ。
「これに時間の目盛を打ってくれへんか。まぁ
10 億年ごとくらいでええでっしゃろ。」
時間目盛は横軸に並行になりますよね。
「そこでやが。10 億光年先に見える銀河は 10 億年前の光、20 億光年先は 20 億年前というぐあいに点をプロットしていきまっせ。」
え、もうお帰りですか。ちょ、ちょっと待って下さいよ。最後にひとつだけどうしてもお聞きしたいことが残っているんですから。
「いやあ別にどうでもええことやけど、さっきあんさん、からすみも佐世保バーガーも、もう出ない言うてましたしなぁ。」
あ、それですか。なあんだお腹が減っているんだったら早くそう言ってくださればいいのに。
「速く言えば良かったのか。じゃあ…、からすみも佐世保バーガーももう出ない。っと。」
あのね、そんな早口言葉のように急いで言えと言ったんじゃありませんよ。弱ったなあ、この時間だったらもう出前をしてくれる店もないし。待って下さい、何とかしますから。えーと。
「ええて、ええて。何やねん、最後に聞きたかった事いうのんは。」
いや、アインシュタインさん、地球上で水平線の向こうを見るためには、水平線の所まで行けばその先が見えます よね。
分かりました、ちょいと時間はかかりますが、じゃあ野草たっぷりの草団子でも作ってみましょうかね。
「なんやと。談合は良うないで。しっかりと公平な入札制度を維持せんとあかんやろう。」
談合じゃありません。ダンゴです。先回りして言っておきますが、タンゴの踊りでもありません。
「別にそんなん言うてませんがな。先回りせんでもよろしい。そりゃぁ水平線まで船で行けばな。その向こうが見える。当たり前やが。」
お饅頭ですよ。洋風に言えばそうですね、Dumpling みたいなもんです。
たとえばですね、私が海岸線にある別荘の2階ベランダから水平線を眺めていたとしますよ。
「おおすごーい。あんさん別荘を持っていたんですかいな。」
いいえまさか、別荘もない。
「ひょっとしてそれ、『滅相もない』
とちゃいますやろな。なんだそれを言いたかっただけやないかい。」
違いますよ。つまり地上 3.0 メートルの高さのベランダから眺めたとしても、地平線距離の算出式 SQR{(R+h)2 - R2} を使って計算するとおよそ6.2 kmでしかないんです。水平線までは。
「まあそうやろうな。水平線や地平線なんてものは思った以上に近いもんなんや。もしも 目の高さが 1.5 mやったとしたら、海岸線から見える水平線の距離は、たぶん4Kmくらい のもんやろう。」
その先はもう見えないわけですよね。まあ今回はヨモギ団子風ですが、この県民の森で摘んだイタドリやノビル、ヒラタケなんかを練り込んでみますから、結構美味しいですよ。
「ふむふむ。大自然満載の新鮮デザートいうわけでんな。それやったらひとつごちになってから戻ることにしようかいな。」
それでも地球の全周は
40075 kmなんですから、あと 6463 回これを繰り返せば、地球を一周して元の海岸に戻れるわけです。
「なるほど。水平線の所まで行ったらまたその先の水平線を目指す。それを
およそ 6500
回繰り返せば確かに元の場所へ帰ってくる かも知れへん。それがどうしたちゅうねん。」
この生地も国内産の無農薬小麦で出来ていますから。新鮮だし正真正銘のオーガニック料理というわけです。期待していて下さいね。 ですから知りたいのはそこなんです。 確かに目に見える宇宙の正体は理解できましたけど、読者の皆さんが行ってみたいのは、やっぱり宇宙の地平線じゃないでしょうか。 |
この図で言えばここ。私達の銀河系を A 地点とすると、そこから見える 137 億光年先の地平線、B 地点ですね。その地平線の向こうがどうなっているのか見てみたいんですよ。
「137 億光年先の 『宇宙の地平線』 まで行く方法やなんて、そら殺生やわ、答えようがおまへんがな。だいいちまだ見えてもおらんのでっせ。」
もちろん、そんなところへ行く交通手段を私たちは持ちませんよね。いかに超高速の宇宙船を使っても、そこに辿り着くまでにはとてつもない時間が必要なんでしょうから。
「何千億年かかって旅行をしたかて、その時にはもう地平線の距離はもっと遠くに伸びておるんやで。そもそも 地平線は光の速さで遠ざかるんやさかい、いくら追いかけっこしても追い付く筈があらしまへん がな。」
あ、そうか。つまり我々はどんなに頑張っても、どんなに科学が進歩しても、今の宇宙の地平線には絶対に到達出来っこない んですね。
「さいでおます。残念ながら無理な話でんな。」
うわぁまいったなぁ。地平線の向こうへ行くことは出来ないんですか。理論的にも。
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