.宇宙の果てはこうなっている. | .第X章 空間が曲がっている証拠. |
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どうでしたか、アインシュタインさん。長崎の皿うどんのお味は。
「いやあこれは絶品でんなぁ。この縮れ麺も噛めば噛むほど旨いし、それに歯ごたえのある烏賊や仰山の野菜がトロゥっとした餡に絡んで、もうこれは庶民派グルメのノーベル賞やぁ。」
あなた、それ誰かの真似をしていません。 「いやいや、大満足ですがな。この使ってある麺は、チャンポン麺でっか。」 そうです。この料理は他の地域では 「焼きそば」 と呼ばれているようですが、長崎では 「焼きそば」 と言ったら、パリパリ麺の 「カタ焼きそば」 のことなんですね。 「ほう、麺が堅い。」 |
そう。これよりもっと細い麺を、丸い形に固めて揚げたものが、長崎の
「焼きそば」 なんです。
「はあ、同じもんでも地方によっては 『皿うどん』
言うたり 『焼きそば』 言うたりするんですな。」
はい、ですから注意して下さいね。今日長崎で味を覚えたからと言って、博多に行って 「皿うどん」 って注文しちゃいけませんよ。ホントの白いうどん玉を、ただ炒めただけのヤツが皿の上に載って出て来ますから。
「うわっはっは。なぁーるほど。重力質量と慣性質量 みたいなもんですな。」
あ、上手いこと言いますね。呼び方は違うけど結局は同じものだと。あなたの一般相対性理論のきっかけになった考え方ですね。その
「等価原理」 について、ぜひここで皆さんに紹介しようと思うんですが。
「はい、それやったらまずは何と言うても、ガリレオ師匠の落下の法則 でっしゃろ。」
あ、有名なピサの斜塔での実験ですね。
「いぃえ、ちゃいます。確かに師匠はイタリアはピサの街の出身でおますが、あの斜塔で落下実験をしたいうのは、どうも弟子のヴィヴィアーニ
Viviani が追悼伝記を書いた際の創作らしいで。」
なんだ実験はしなかったんですか。 「公開実験をしたという記録は実はおまへんのや。自宅の中で斜面を使った実験をして、全ての物体は同じ加速度で落下する という定理を見つけたんでっしゃろな。」 まあどちらにしても、いろんな重さの物を落としてみれば、誰にでもわかることですからね。 |
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ガリレオ・ガリレイ |
「そう言うんなら、実際にやってみたらよろしい。重い物と軽い物を同時に、何度でも落としてみなはれ。絶対にやっぱり重い物の方が、ほんの僅かやろうけど早く落ちますさかい。」 ええ、軽い物ほど空気の抵抗の影響を受けやすいですからね。 「そやさかいアリストテレス以来
1900 年間も 『重い物体ほど早く落ちる』っていう定理は間違いのない事実として受け入れられておったんです。」 |
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ピサの斜塔 |
「何言ってまんのや。ガリレオの弟子であった トリチェリィ (1608〜1647) Evangelista Torricelli が、ガラス管の中にわずか 240 ccの真空を作り出したのが、お師匠さんの死の翌年 1643 年でっせ。ましてや高い距離を落とすだけの真空装置なんて、そんなもん全くなかった時代ですがな。」
えーっと、私は中学校の理科の時間に見せて貰ったんですが、空気を抜いたガラス管の中に鶏の羽と鉛玉とを入れておいてね、それをひっくり返すと、ストーンと両方とも同じ速さで落ちてしまうあの実験。じゃあ、あれは当時では全く不可能だったんですね。
「さいです。だから坂道を転がるいろんな物体の運動を子細に観察して、その微妙な違いから、『もしも真空だったら全ての物体が同じ加速度で落下するだろう。』 ということを発表したんです。」
ああ、それはすごい。そうだったんですか。そこまでは知りませんでした。
「つまり物体に働く重力は、質量に比例するということをはっきりさせたわけでおます。地球から受ける重力を F、その物体の質量 m とすると、落下加速度は a=F/m になると。これなら質量が2倍なら地球から受ける重力も2倍だから、落下加速度はどんな物体でも同じというわけですな。」
えーっ、これって立派にもう
ニュートンさん(1643〜1727)Sir Isaac
Newton の運動方程式じゃないですか。 「そうです。不思議なことにニュートンはちょうどガリレオ師匠が死亡した 1643 年に生まれとるんですが、その 44 年後に 「Philosophiae Naturalis Principia Mathematica(プリンキピア)」 に著されたニュートンの定理につながる基本的な発想を、こと重力に関してだけはもう既に、師匠が先に確立していたちゅうことになるんです。」 なるほど。ガリレオさんと言えば宗教裁判でも地動説を曲げなかったなど、天文学上の功績も多彩で、落体の実験などはその中では些細な事だという印象があったんですがね。 |
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アイザック・ニュートン |
「ガリレオ師匠だけじゃありませんて。今じゃ簡単なことに思えるような定理もみんな、それを最初に発見するまでには科学者のねばり強い実験と、深い洞察が必要だったんです。」
いやあ、さすがにアインシュタインさん。皿うどんを召し上がられた途端に、ようやく人類史上最高の物理学者らしくなって来ましたよ。
「さよか。そう言われるとなんか知らん、さっき美味しかったイカやホタテがエネルギーに代わってきたような気もしまっせ。これが漁師力学かいな。」
あそれ、量子力学に引っ掛けたんですか、まあまあですよ。じゃ私も、落下法則の実験は誰にでもできるなんて、これは私のひとりよがりれい。
申し訳ありませんでした。さてところで、この地球から受ける重力の度合いで定義された質量が
「重力質量」 ですよね。どうしてこれに疑問を持ったんですか。
「きっかけはでんな、わてが乗っていたエレベータのロープが切れたことなんで。」
え、それじゃあ落下して死んじゃうでしょう。
「はいな。しかし頭の中で考えるだけですやさかい、いつまでも落下し続けられまんのや。」
ほっとしました。思考実験ですね。さっきの深い洞察ってやつですね。
「そのロープが切れたエレベータの中で、持っていたリンゴを手放すとしますやんか。そうすると、その中の人もリンゴも同じ 9.8 m/s2の加速度で落下しますさかい、空中にふわふわと浮いて、あたかも重力が消えたように見えます わな。」
なるほど。でもやっぱりこの場合、人にもリンゴにも立派に重力は働いているんでしょう。ただ見かけ上、まるで消えたように見えるというだけで。
「いやいや、そういうことやおまへん。気になったんは、重力とは一体誰が生みだしておるのかということですねん。」
誰が重力を生みだしているのか。
「そう、こんとき重力を消したものは一体何やったのか。それを考えていたんです。」
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