宇宙の果てはこうなっている

第X章 空間が曲がっている証拠

       
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【 第X章 −5】 身近な証拠 

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 どうですか皆さん、これだけアインシュタインさんの予言が次々に立証されたんですから、今さら 「いや空間が曲がっているなんて、そんなこと絶対に許さない。」 なんて駄々をこねる人は、もういくら何でもいない筈でしょう。

 と思ったらね、でもいるんですよ。本当にもう。疑り深い人ってのはそりゃぁいつの時代にも存在しますからね。
 水星の近日点がずれているのは、内側にもうひとつ惑星が存在するからだ。太陽に近すぎるからまだ発見されていないだけだ。

 エディントンの日食の写真は捏造だ。データにうまく合うように、ネガに写った星の位置を修正したんだろう。重力レンズ現象なんて起きていない。スペクトルも大きさも等しい4つの銀河が、偶然接近しているところが撮られただけだ。などなど。

 はいはい。そんな人のために、だめ押しの話 つばかし、やっておきましょうかね。

 「ええやおまへんか。何にしてもそれを疑うことで科学は発展します。論争は大歓迎でっせ。そやけどわての予言は、他にはもうあらしまへんけどな。」

 はい。でも質量の周辺で時空が曲がっていることを証明する、もっと確実な証拠です。

 そのひとつは 1975 月に打ち上げられた火星着陸船バイキング号です。10 ヶ月の航海のあと見事にクリュセ平原に着陸したんですが、こいつを使って、地球と火星間の距離測定プロジェクトが実施されました。

 すると、地球から見て太陽の向こう側に火星がある場合(外合)、電波の往復時間が理論値よりも大幅に遅れる ことが実証されたんですね。

 上図は着陸してからヶ月間の、地球−火星間の電波の往復時間を示しています。ちょうど外合の位置に来る 1976 11 月を頂点に、まるで火星がその軌道を外れて遠ざかったかのように見えます。

 これは 太陽の周囲では空間がゆがんでいる ために電波が曲がり、曲がった分だけ長い距離を電波が進まなけれぱならなかったからです。この遅れは、一般相対性理論による予言と 0.1 パーセントの誤差で一致していました。

 どうですか、アインシュタインさん。あなたが残した一般相対性理論は、今でも元気に大活躍なんですよ。
 「いや、それよりも火星表面に軟着陸出来たんでっか。その食べ放題号ちゅう探査機は。」

 食べ放題じゃありません。バイキング号です。
 「なんにしても夢がありまんなあ。わてはそっちの方がワクワクしますやんか。」

 そっちですか。そりゃあそうでしょうね。人類最初の人工衛星スプートニクが地球を周したのが、あなたが亡くなって年後の 1957 10 月でしたからね。

 それからの惑星探査の発展はめざましかったのですよ。今や小惑星や彗星核にまでプルーブ (着陸探査機) を降ろそうとしている時代ですからね。

 「で、ほんまに居たんでっか。火星人は。」
 当然です。いましたよ。あなたの家にも居たでしょう。毎日食事を作ってくれたりお洗濯をしてくれたり。
 「はいはい、おりました。家政婦さんでんな。」

 公転軌道を廻る惑星がA地点にいるとき、電波は時空の“平坦”な場所を通って地球に到達する。だが惑星がB地点に来たときの電波は、太陽の近傍で曲げられた時空を通過するため到着時間が理論値よりも遅れる。
  学研 最新アインシュタイン論 より  イラスト:木原康彦

 

 もうひとつのお話しをしておきましょうか。実はもう日常生活の中で、皆さん方自身が 身近にこのアインシュタインさんのお世話になっている という、決定的な証拠を。

 それは カーナビCarNavigationSystemです。今やたいていの車には載っていますよね。え、うちの車には付いていない。いつもお父さんが助手席で必死に地図をめくっていて、時々間違えては運転席のママに怒られている。

 良いじゃありませんか、それも夫婦のひとつの形。そうやってコミュニケーションが取れているから、日本は平和なんですよ。子供には分からない世界があるんです。

 よしそれなら携帯電話です。これだったらどなたもお持ちでしょう。その中に GPS機能 が付いているのがありますよね。これもそうなんです。

  「GPS? 何でっか、それ。ゴールデン・ペスカトーレ・スパゲッティ? うわ、旨そうやんか。」
 違いますよ、アインシュタインさん。
Global Positioning System全地球測位システム です。ほら、私の携帯でもね、こうやって今自分がいる位置を、地図の上で見ることが出来るんです。

 「あらぁ、綺麗な画面ですな。お、お、なんか動いてるやおまへんか。」
 ここは長崎県民の森と言う場所です。長崎県の西彼杵半島のど真ん中、長浦岳の頂上付近ですよ。ちょっと拡大してみましょうか。ほーら、オートキャンプ場の入り口に、天文台の表示があるでしょう。ここに今私とあなたがいるんです。この三角形マークが現在位置を示しています。

 「こりゃ便利なもんやなぁ。自分がどこにいるのかが分かる。さいですか、これを車に積んでおくんですな。なぁるほど、それやったらわてがここに来るときみたいに道に迷うこともあらしませんわな。」

 

 GPSシステムというのは、24 個の人工衛星を、地上万キロメートルの高空に打ち上げて、その 原子時計の電波を受け取って車の位置を知る 仕掛けです。まあ、実質的にはそのうちの個の衛星からの受信時刻がわかれば距離が決定されますけどね。

 「ほうほう、点測量の原理やな。」
 その通りです。ところが衛星は半日で地球を一周するほどの速さで軌道上を動いていますから、当然相対論的誤差を生じます。
 「運動している衛星の原子時計は、地上の時計よりも遅れるわけでんな。」

 ええ、でもそれだけじゃありません。

GPS衛星:高度約2万kmの6つの地球周回軌道上に、それぞれ4個ずつ計24個が、秒速4kmで運動している。

 「そうや。地上万キロメートル言うたら、地表よりも重力はだいぶ弱おますからな。」
 そうです。その分の補正も必要です。

 アインシュタインさんがおっしゃったように、地球表面上での重力というのは、ちょうど 9.8 m/s2で加速度運動しているロケットの中で感じると慣性力と同じと見なせる。
 「地上
万キロメートルやったら、それが 0.6 m/s2で加速度運動するロケットと同じと見なせますわいな。」

 あ、すごい。合ってますよ計算が。何だ、やっぱり暗算は得意なんじゃないですか。
 「そんなことおまへん。わてはあくまでも男でっせ。安産型じゃおまへんて。」
 どーん。とうとうアインシュタインさん、私のペースに巻き込まれてしまいましたね。

 「とにもかくにも角煮も食べたい。加速度が大きいほど当然時計は遅れるわけやから、この効果で言えばGPS衛星では逆に地表よりも時計が進みまんな。」

 以上2つの効果を合わせると、結果的に GPS に積まれた時計は地上の時計に比べて日あたり 38.6 マイクロ秒0.0000386秒)だけ進んでしまう んですよ。

 「そうかぁ。車が百メートル移動したからと言うても、衛星電波の受信時間差はほんの僅かにしかならんのやさかい、そのカーナビって言うんですか、そいつはごっつい精度で信号を読まんといけませんわな。」
 よって衛星から発せられるコードの基本周波数は
10.23 マイナス 0.00455 ヘルツに設定されています。このマイナス 0.00455 の部分が、相対論誤差を補正するため なのです。

 

 どうですか皆さん、初めて知ったでしょう。アインシュタインさんがうち立てた 一般相対性原理は、もうここまで私たちの生活の中に入り込んでいた んですよ。

 なのに未だに 「相対論は間違っている」 なんていう本を出している大学の先生もいらっしゃいますが、どうでしょうかね、その先生もおそらく毎日、携帯のGPS機能はせっせと使っておられるんじゃないでしょうか。

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