宇宙の果てはこうなっている

第V章 そこが宇宙の果てではない

       
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【 第V章 −5】 宇宙の地平線

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 待ってくださいよ。そうすると例えば 宇宙が出来てまだ 50 億年しか経っていなかった頃は、50 億光年先の場所が、光速で後退する場所だった んですか。
 「もちろんそうじゃ。そこから先はないんじゃから。」

 ははーん、するとその頃の膨張率は、今よりはるかに大きかった事になりますねぇ。
 「そういうことじゃな。出来て
100 万年の頃の宇宙では、宇宙誕生の姿は 100 万光年の距離に見えておった。それより先は見えなかった。当たり前じゃろう。」

 そしてその光速で後退する場所は、年々遠くに拡がっていったと。
 「うむ。我々の銀河系を中心に考えるとそうなるかな。言うなら時空の曲率がどんどん小さくなっていくのじゃ。」

 

 だが、だけど、But、しかし、かかし、みなさん。やったぁ、そうか。137億光年よりも先はもう見えないんだから、ここが宇宙の果てなんだな。なんて思ってはいませんか。

 現在の宇宙の半径は 137 億光年だ、これが宇宙の大きさなんだなんて言う考えは。
 「
それは違う。よおくイメージして欲しいんじゃが、空間というものがあって、それとは別に時間が経過しておるのではない。我々の前に拡がっているのは実は宇宙の 『空間』 ではない。宇宙が出来てから今までの各時代ごとの風景が時系列的に並んで見えておるだけに過ぎん。

 時間と空間は常に絡まって存在するから、だから 「時空」 と言うのですね。

 「宇宙が一点からスタートしたことにこだわるのであれば、さっきの宇宙概念図も、こういう風に書き替えると考えやすい。」

 あ、宇宙が始まって以来、我々の場所が光速で拡がっていると考えるわけですね。

 これなら過去の宇宙が小さかったことがイメージ的に掴めますね。逆転の発想だ。

 「しかも、次元の 『空間』 だと考えている現在の宇宙とは、単にこの図の曲面の面上でしかない。その 内側にあるのは 『空間』 ではなくて過去の歴史なのじゃ。我々はそれを見ている。

 なーるほど。私たちは皆、時空の中を光速で移動していると考えられるわけですね。

 

 さてみなさん、今のハッブルさんとの会話の意味はお分かりでしょうか。
 
ああそうなのか、137 億光年から先はもう見えないんだから、ここがいよいよ宇宙の果てなのか。って、そう思ってはいけません ということなんですね。

 良いんですよ。頭の中が豆腐みたいにぐちゃぐちゃになったとしても。宇宙の曲率とか、時空の事についてはどうせこの後すぐにご説明しますからね。

 ところが困ったことに、この光速で遠ざかる場所を 「宇宙の果て」 だと書いている書物も結構あるんですよ。最初に私が書いた宇宙の概念図だけを示してね。この半径 137 億光年の球体が宇宙の大きさなんだと堂々と書いちゃっているんです。どう思います、ハッブルさん。

 「明らかに間違っておる。簡単な話じゃ。その先を見ようと思えば、そこまで行けばよい。
 そういうことですよね。みなさんにも少しわかりやすいようにご説明いたしましょう。

 

 現在我々の銀河系が存在している点をA地点としましょうか。そして、私たちから見て光速で遠ざかっている、まあハッブルさんに言わせると 137 億光年先の場所を地点としますね。

 もし瞬時にそこへ移動できるとします。
 もちろん光でも
137 億年も掛かるわけですから、実際に移動していたらとんでもない時間を要するでしょうし、移動している間に観測限界はもっとぐんぐん拡がるでしょうけど。

 もしその事を無視するなら、点から見るとそこを中心に やはり 137 億光年先まで見える 筈なんですね。そしてそこから我々の地点をながめると、宇宙が出来た頃の地点が見えることになります。

 「その地点から先ほどのクエーサー H1413+117 を見ると、わずか 27 億光年の距離に見えるじゃろう。その姿はすでに宇宙が出来て 110 億年経った、立派な銀河群に成長しておるものと思われる。」

 つまり我々はこの位置から動けないので 137 億光年先までしか見えていないだけで、他の場所からはやはりその先 137 億光年が見える。
 「どこから見ても同じ風景が見えるはずじゃ。」

 よってこの 「光速で遠ざかる場所」 のことは、「宇宙の果て」 ではなく、「宇宙の地平線」 と呼んでいます。地平線なのですから、そこで世界が終わっているのではありませんよね。地平線の向こうにも世界が続いている筈なんです。

 地平線の向こうを見るためには、地平線のところへ行くしかありません。じゃあ 地平線の向こうにはどんな世界が拡がっているのか。何処まで行けば 「宇宙の果て」 にたどり着けるのか。この HP の最大の山場に突入することにします。

 

 「おっと、肝心なところで申し訳ない。わしの携帯がピコピコ鳴り出したでござる。」
 えーっ。ハッブルさん携帯電話をお持ちだったんですか。うわぁかわゆい! 何ですかこれ。
ハートマークのストラップ じゃありませんか。

 「わしは大嫌いなんじゃよ、こんなもの。おぬしに呼ばれたから、霊界からこっそり抜け出そうとしていたら、どうしてもかみさんがこれを持って行けと。」
 あ、奥さんの携帯なんですね。ずっとそれを握りしめておられたわけですか。それはそれは、さぞかし
気が休まらなかった でしょうね。お察しします。

 「制限時間の 30 分を越えてしもうたらしい。つい長居してしまった。いかんいかん。戻らなければ。」
 あなたの携帯って、ひょっとして
ウルトラマンタイマー なんですか。それにしても長い時間、有り難う御座いました。貴重なお話をしていただいて、ずいぶん助かりました。

  「また機会があればいつでも呼んでくれ。ただし 30 分じゃがな。」
 はい。いつまでもお元気で。って、霊界の人に言うセリフじゃないかも知れないけど。

 「それに、最後の時空の説明あたりはちょっと話が飛躍してしもうた。読者諸君にはちと理解しにくかったのではないかな。もう一度、次元の基本原理から改めて解説する必要があるやも知れんぞ。」

 

 なるほど。それじゃあ私の方はゲストとして、もうひとり別の方をお呼びしましょうかね。
 「誰か当てでもあるのか。」
 そうですね。アルバートさんにしましょうか。
 「何、アルバイト? わしは無報酬で呼んだくせに、今度の出演者にはゲスト料を払うのか。」

 アルバイトじゃありませんよ。アルバート・アインシュタインさんです。
 「ほう、アインシュタインとな。ふむふむ。彼ならこの話に打って付けじゃろう。アポは取れておるのか。」
 ついこないだ本屋さんでお会いしまして、うちに来てくれるかなって聞いたら、
「いいとも」 って言ってくれてましたから、たぶん大丈夫だと思います。

 「それってもしかすると、ただ科学雑誌の写真に話しかけただけじゃないのか。写真のアインシュタインとモゴモゴ会話なんかしてたら、店員から変に思われるぞ。」

 だあいじょうぶですよ。モゴモゴ じゃなく、きちんと 大きな声 を出して会話してるんですから。
 「それが思いっ切り危ないじゃろうが。まあ、達者で暮らせ。さらばじゃ。」

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