宇宙の果てはこうなっている

第V章 そこが宇宙の果てではない

       
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【 第V章 −4】 ハッブル定数は確定した?

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 さあ、いよいよこのHPも佳境にさしかかってきたようですよ。
 この宇宙は膨張している。しかも遠くの銀河ほど速い速度で遠ざかっているとしたら、誰でもあることに気が付きますよね。

 そうです。ずっとずっと遠くの銀河は、そりゃあここからはまだ見えない遠い世界のことだろうけど、恐ろしいほどの速さで後退しているのだ。
 ならば、
光の速さで遠ざかっているところがどこかにあるに違いない、と。

 あなただってまずその事を考えるでしょう。
 もし光速で遠ざかる星雲があれば、その星雲から出た光は私たちから見えるのか。
 じゃぁ
そこよりむこうからの情報は、私たちにはもう届かないのではないのか。

 その通りなんです。人類が将来どんなに性能の良い望遠鏡をつくったとしても、そこからむこうの世界はもう見えません。

【 宇宙の観測限界 】 ハッブル定数 H0100 であれば、97.8 億光年の距離にある星雲は、我々から光速で遠ざかっている。究極の性能を持つ望遠鏡でも、その先はもう観測できない

 1960 年(昭和 35 年)に第版が発行された 「宇宙の探求」 の中で宮地政司先生は、光の速度で後退する星雲は 75 億光年の位置にある と言っておられました。単純に計算するとこの頃のハッブル定数 H0 130 くらいと考えられていたようです。

 しかも 「これを裏付けるように、見える限りの星々の進化に関する天体物理学の理論からは、この 75 億年よりも永く生きながらえたと考えられるような星は見つかっていない。」 とも書いておられます。

 

 しかし 1985 年(昭和 60 年)に出版された 「宇宙の広さは測れるか」 の中で東北大学教授の吉田正太郎先生は、赤方偏移 z3.78 となる PKS2000330 というクエーサーが発見されたと述べています。
 「ハッブル定数を
50 であるとし、宇宙膨張は何処でも一様であるとすると、このクエーサーは 179 億光年の距離にある。」 と書いてありますから、この当時、光速で後退する限界はおよそ 200 億光年先と見られていたことになるんです。

 

 このように、ハッブル定数が確定しないために、この 「光速で遠ざかる場所」 ってのがなかなか決まらないんですね。
 時には NASA が発表した宇宙年齢よりも、ある球状星団の年齢の方が古い、なんていう逆転現象の時代もあったりして。

 ま、どっちにしても この 「観測限界の果て」 がどこかに存在すること自体は確か なんですがね。

 しかも大変なことに最近の宇宙論研究の結果、このハッブル定数 H0 60 より小さければ、宇宙はこの後いつか縮小に転じて、ビッグクランチで消滅する。

 H0 100 より大きければ、加速膨張の結果、物質は雲散霧消すると言われ、宇宙の運命に係わる重大な役目まで背負わされることになった んです。

 「宇宙が閉じているか開いているかには、全宇宙の物質の密度パラメータも関係しておるのだがな。」

 それにしても 20 等級以下の暗い銀河の距離を確定することは非常に困難で、世界中の学者が躍起になって観測を重ねています。

 同じハッブル望遠鏡を使ってセファイド変光星の距離の決め直しをおこなったはずの フリードマン( Freedman Wendy ) のグループと サンデージ ( Sandage Allen ) グループとでさえ、結果が違ってしまっているんですから厄介なことですよね。

 おかげで宇宙の起源やその運命についての基本的な問題の多くに、天文学はまだ正確な答えを出せずにいます。

 

 「ふわっは、ふわっは。なかなかの名解説じゃ。」
 ふうっ、もーうっ。なんですか、文句でもあるんですか。あるんならさっさと言って下さいよ。

 「簡単なことじゃろう。以前からわしは思うとった。学者達はその時々の観測結果だけに振り回されとるが、この光速で遠ざかる距離は当然 宇宙の年齢に一致する 筈じゃと。」

 え、宇宙の年齢と同じだと仰るんですか。うーんと、宇宙の年齢はですね、だいたい 137 億才ってほぼ確定しつつありますよ。

 NASAが 2001 月に打ち上げた宇宙背景放射観測衛星 WMAP によるほぼ年間の観測から、宇宙年齢を 137 ±2億才と発表していますからね。

宇宙マイクロ波放射探査機WMAP
 (Wilkinson Microwave Anisotropy Probe)

 「ビッグバンから 38 万年後に宇宙が晴れ上がったときの温度のゆらぎを COBE衛星 が発見したのが 1989 年。そのゆらぎをさらに精密に観測したのが WMAP だから、かなりの信頼性があると言って良かろう。」

 そうするとハッブルさん、銀河が光速で遠ざかっているところは。

 「137 億光年の場所じゃ。間違いない。
 えーっ、良いんですかそんなに断言して。まだそこは確定されていないんですよ。もしそうならハッブル定数
H0
 「
72.4 じゃ。これで決まり。
 あっちゃー。もうこれで
70 年間の人類の疑問が一気に解決しちゃいますが。
 「WMAP での結論が正しいならばじゃよ。ただし
137 億光年の場所に銀河があるわけではないがな。」

宇宙背景放射探査機COBE
  (Cosmic Background Explorer)

 あ、そうか。例えば50 億光年の場所から出た光は、私たちの目に入るまで 50 億年間飛んで来たわけだから、そこに見えているのは 50 億年前の世界。」

 「137 億光年先には、宇宙が誕生した瞬間の姿が見える ことになる。もし高性能の電波望遠鏡が完成したらの話じゃがな。そこが光速で遠ざかるから我々に見えないと言うよりも、その先にはもう宇宙が存在しないのじゃ。」
 どーん。だから見えるわけがないのか。わっかりました。単純なことだけど目から鱗ですね。

 

 じゃあまずここで宇宙のイメージ図を書きますよ。我々の銀河系から遠くに離れるほど、そこには過去の宇宙が見えている。そして137 億光年先に、宇宙の始まりの瞬間が見えている。

 っと、こんなもんで良いですか。
 「まあ、初歩の概念図としてはこれでも良かろう。」
 それはそれは。褒めて頂いてもらって、お有り難うござい鱒の姿寿司。

 「チャンドラX線観測衛星 2004 月に撮影した、うしかい座のクエーサー H1413+117 は、われわれから 110 億光年離れたところにある。」

 「これが現在のところ人類が観測できた最遠の天体じゃ。それもこのあたりに書き込んでおいてくれ。」

 「そこに見えているのは、宇宙が誕生してからまだ 27 億年の頃の、言うなら銀河の卵になるガスが、巨大なブラックホールの周囲でエネルギーを発していた当時の姿じゃ。」

 

 あ、思い出しました。私もちょっと偉そうに言いたいことがあるんですが、ハッブルさん、ここで言っても宜しいでしょうか。
 「首を絞めて言わせまいとしても、どうせ喋るのだろうが。」
 へへ、あのですね、ビッグバンで宇宙が始まったとすると、その時、宇宙は 「点」 だったのかって聞いてくる方が結構おられるんですよね。

 「人間はやはり次元認識生物だからのう。無理もない事じゃ。」
 でも今言われたことではっきりしましたね。
地球から四方八方どの方向を見ても、ビッグバン時代の 「点」 が見えている わけですよね。

 「ふわっは、ふぉっほう。60 億光年先に拡がっておるのが、今より半分の大きさだった頃の宇宙なんじゃからな。次元的に空間をとらえると、辻褄が合わんじゃろうて。」  

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