宇宙の果てはこうなっている

第Y章 宇宙の歴史と地平線の関係

       
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【 第Y章 −1】 ジェットさんの疑問にお答えして 

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 さて突然ですがアインシュタインさん。ここらでちょっと動物園で飼育されている時のようなお願いがあるんですがね。
 「はあ、動物園で飼育。何でんねん一体。」
 つまりオリ入って頼みがあるんですが。
 「うはは。これは結構いきましたで。これまでの中で一番まともに笑えますな。」

 そりゃあどうも。と言うことは、これまでのは殆どまともじゃなかったということですね。
 「そんな。ぜーんぶ下らない聞くに堪えない親父ギャグだったなんて口が裂けても、はい、確かにそう思います。」
 どうぞ勝手にしてください。実はですね、ここのホームページを開設した直後から、熱心にアクセスしてくださっている、
ジェットさん という読者の方から、あるメールを頂いたんです。

 「ほう、読者の方からでっか。」
 ええ、そのジェットさんの疑問に、ぜひここで答えて頂きたいんですよ。どうか助太刀をお願いできませんか。
 「えーまたでっか、そりゃぁよろしいけど。そないなことより、このでっかい望遠鏡を覗いてみましょうや。なかなかええ天文台やおまへんか。」

 でしょう。この接眼装置はほら、こんな風に自由に動くんですよ。これで背が低い子供でも車椅子の人でも、楽な姿勢で観望できるんです。特注品ですよ。ワンダー・アイ と言います。
 観測室の入り口もこのように全部スロープになっていて、全面バリアフリーの天文台なんです。

 「こりゃあ良い。やあ綺麗ですね。ぎょしゃ座の散開星団 37 が微星までしっかり引き締まって見えまっせ。さすが大口径屈折の威力でんな。うっとりやがな。」

長崎県民の森天文台

 近頃の公開天文台には、反射式やカセグレン方式の望遠鏡が多いんですが、やっぱり屈折方式のクリアな星像は魅力ですよね。

 毎週土曜日にはインタプリタと呼ばれるボランティアの方が交替で、キャンプに訪れた家族連れのお客さんなどに、星空観望の解説をなさっているんです。皆さん天体に関して大変お詳しいですよ。

 「ああ満足した。ほなら次はキャンプ場で、ひとつ野外料理にでも挑戦しましょうかね。」

 ちょっとちょっと、上手く話を逸らさないでください。ジェットさんの質問ですよ。それに答えてからにしてください。
 「あらら、忘れてなかったんかいな。んなら仕方おまへん。その読者さんのメールとやらをここで紹介してみなはれ。」

これがワンダー・アイ

☆ 200725日(日)214448秒 に 「宇宙の果て掲示板」 に投稿された 「ジェット」 さんからのメッセージ。
> このHPが少しずづ完成に近付いて行くのを、ワクワク楽しみにしています。
> 実は、貴HPの 「ぷろろーぐ」 の
 >> だからと言って一足飛びにこのHPの最後の章だけを読んでみても、ほらほら、あなた。
 >> 今ちょうど最後の章をクリックしようとしてたでしょう。止めときなよ。
 >> たぶんチンプンカンプンだと思うよ。結論だけを聞いても。
> というコメントを読んでファンになったんです。順を追って考えながらゆっくりと
> 楽しめるHPと(勝手に)感じました。ですから太陽が超新星爆発を迎えるまでは無理としても、
> 最終章に行き着くまで、可能な限りゆっくりとお付き合いさせて頂くつもりです。
 ジェットさん、新しい章を更新するたびに、いち早くチェックしていただき本当にありがとうございます。書く方の立場からはとても励みになります。
 それにしても筆が遅くて済みません。できるだけ最新の科学に忠実に、しかもわかりやすい解説が出来ればと思って頑張ります。ぼちぼちと書き加えていきますので、お見捨てなきよう、今後ともよろしくお願いします。
>  私はキャンプに行った時など、夜空を眺めて 「あの星の光はXX万年前で、今見ている星は
> XX万年前の姿なのかなぁ」「その先はいったいどうなっているのかなぁ」 なんて考えて興味は
> 尽きません。
>  しかし、
目に見えている星空のそれぞれが、億年単位で異なる姿として地球から
> 見えているということが、どうしても感覚として消化できないのです。
>  宇宙の何処からも同じように 137 億光年先に宇宙の始まりがあるというイメージが、ビックバンの
> 一点と結びつかずにいます。
>  どうも頭の中で基準点みたいな所を考えの拠り所としているからかも知れません。たとえば
> ビックバンの始まりを一点として見てしまうから混乱しているのでしょうか。
 そうですよね。宇宙の始まりは「点」だったはずなのに、それが今では 137 億光年の彼方、四方八方、360 度の方向に見えている なんて。誰にとってもこんなに不思議なことはありませんよね。

 さあ、アインシュタインさん、これなんです。皆さんここのところで詰まっておられるみたいですよ。遠い彼方にほど、今より小さかった頃の宇宙がある。最遠の場所に、ビッグバンの「点」がある。ってんだから、頭の中にイメージが作れないで、悩んでおられるんでしょうね。何か上手い説明のやり方はありませんかね。

 「宇宙時空のイメージでっか。確かになぁ、それまでの絶対空間に慣れ親しんできた感覚のままで考えると、手強い問題でっしゃろな。」
 でもね、約束しちゃったんですよ。たぶん第
章あたりでジェットさんの期待に応えられるような時空イメージ図をお示ししますからって。助けてくださいよ。

 「そらあ、あんさん自分で約束したんやったら自分で責任取りいな。わてはちょっと気晴らしに、ぶらっと外に出てみまっせ。」
 ぶらっとだなんて。ねえ、待って下さい。いよっ、ブラット・ビット!

 

 「ああ、良い空気や。森の中の天文台って良えもんでんな。見なはれ、満天の星空やないか。」
 あっちがキャンプ場の管理棟です。そんなにスタスタ歩いて、道に迷わないでくださいよ。
 「おお、あそこに、ほれ
20 メートルほど先に、えらい背いの高い木が見えまんな。」

 そうですね。えーっと、あれはどうも 榛の木(はんのき)みたいですね。ハリノキとも言います。幹が太いから、農家では畦のイネ掛け用なんかによく使いますよ。
 「さあて、その榛の木、本当に 『今』 そこに存在しておるんやろかいな。」

 え、どういうことです。存在していますよ。見えているんですから。

 「わてらはそこに物があるということを、光で認識していますわな。太陽の光や電灯の光がその物体の表面に反射して、それがあんさんの目に飛び込んで来るさかい、そこに榛の木があるいうことが分かるんでっしゃろ。」

榛の木 [はんのき] カバノキ科の落葉高木。ハリノキとも言う。秋に松かさ状の球果をつける。

 はい、もちろんそうです。
 「しかし
20 m 先の榛の木を出た光は、あんさんの目に届くまでに 20/300000000 秒 (0.000000067秒) かかります。そやから正確に言うと、0.000000067 秒前の榛の木の映像 を見ておることになります。そうですわな。」
 まあ、言われてみればその通りですね。

 「おや、向こうの山あいに小さな明かりが見えますな、あの建物は。」
 あそこが森林館です。この長崎県民の森の植生や動物などに関するいろんな資料が展示されていますよ。管理事務所もあの中にあります。

 「まああすこまで、キロメートルやとしましょうか。」
 はあ、見たところそれくらいはあると思いますが。
 「あれも、あんさんが見ておるのは
0.0000033 秒前の森林館の姿ですわな。」

 私たちが 230 万年前のアンドロメダ星雲の姿を見ていることと同じなんですね。
 「さいですがな。そやのに
0.0000033 秒なんて日頃の生活では意識でけへんよって、私らは榛の木も森林館も、今この瞬間に 『同時に』 存在しておると思うとるわけです。でもあの榛の木はやっぱり 『今』の榛の木ではない んでおます。」

 わかりました。私は第章の第節で太陽を使って話をしたんですが、あの森林館がもしも爆発をして消滅したとしても、私たちはそれを0.0000033 秒後にしか知り得ないということですね。

 「そうでんな。少なくとも自信を持ってはっきり言えることは、0.0000033 秒前までは、森林館はあそこにあった。アンドロメダも 230 万年前まではあの姿をしていた。」
 しかしその後どうなったかは我々にはわからない。
 「この宇宙では、情報は光速以上の速さで伝わることはないんやから、わかるはずがないんや。」

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