.宇宙の果てはこうなっている. | .第U章 膨張宇宙って本当なのか. |
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というところで、次に移っても宜しいでしょうか。 「何故いちいち人の目を気にする。勝手に進めれば良かろう。どうせわしはここでウトウトしておれと言いたいわけじゃな。」 ん、もう。そんなに拗ねないでよハブちゃん。私が悪うござんした。 じゃあ先に進みますよ。もうひとつ、同じ分光視差でも、散開星団のスペクトルから 星団全体の距離を割り出す手法 があって、これは単独の星の場合よりもずっと信頼牲が大きくなりまぁす。 |
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【ヒアデス星団 Mel.25】 Hyades Clustar |
おうし座に 「ヒアデス星団」 というのがあります。1等星アルデバランからV字状に星が散らばり、この星団全体で雄牛の顔を形作っています。
ただしアルデバラン自身は、かなり地球に近いところにあり、このヒアデス星団には属していないようです。偶然同じ方向に見えているだけです。
ベクトル矢の長さは 18000 年間の動きを現しています。しっかしまあ、これだけのデータを揃えるまでには相当な根気が必要だったと思いますよ。
ただし残念なことに、この図に表されているベクトルはあくまでも天球上の (地球からの視線に垂直な方向の) 移動量であって、距離がわからなければそれがどの程度の速度であるかは分かりません。
そこで、今度は固有運動の視線方向成分 (地球から遠ざかる速さ) を、例の ドップラー効果 によって測定します。そのためにスペクトルデータが必要なんですね。水素輝線のずれによってドップラー量を判定するんです。
ドップラー効果って、ほら救急車が近付くときのサイレンはピィーポォーって甲高く聞こえるけど、目の前を通過した途端にブィーブォーって音が低くなるでしょう。
【 ドップラー効果 】 音源が近付く方向の波長は縮み、遠ざかる方向では波長が長く(振動数が低く)なる。 |
光も同じように、遠ざかる星から出る光は、わずかにその波長が長くなる。すなわちスペクトルがやや赤色側にずれる (赤方偏移) わけです。そのずれの度合いから、少なくとも地球に対する視線方向速度成分は定量的に求まります。
いえいえ、こうして求めたヒアデス星団までの距離は、149±2.6光年。これはたんなる推論どころか
実測値 ですから、観測精度さえ上がれば正確な星団の距離が確実に決定されるわけです。 このやり方を 運動星団視差法 とも言います。この方法で、人類は約 600〜700 光年までの距離を測る手段を手に入れたことになります。 おうし座にはもうひとつ、有名な散開星団があります。そう、清少納言が枕草予のなかで一番美しい星と言った 「プレアデス星団」 (日本名「すばる」) です。よくご存じですね。非常に若い星々の集団です。 |
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【プレアデス星団 M45 Mel.22】 Pleiades Clustar |
この方法を使うと約 15,000 光年までの距離を測ることができるんですね。
「ただしそれが散開星団で、主系列星を多数含んでいることが条件じゃがのう。」
あ、そうか。ちゃんと前提を押さえて説明しておかないといカンです、冷やデス。
「おまえさん、頭、大丈夫か。」
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